本UP 北海道新聞創刊80周年 聖徳太子1400年御遠忌記念 【特別展】国宝・法隆寺展 The 80th Anniversary of the Hokkaido Shimbun Press The 1400th Memorial for Prince Shôtoku Special Exhibition: Hôryûj

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北海道新聞創刊80周年 聖徳太子1400年御遠忌記念

【特別展】

国宝・法隆寺展

The 80th Anniversary of the Hokkaido Shimbun Press The 1400th Memorial for Prince Shôtoku

Special Exhibition: Hôryûji Treasures

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国宝《菩薩半跏思惟像》飛鳥時代・7世紀、奈良・中宮寺蔵(撮影・三好和義)

 

令和3年(2021)に聖徳太子(しょうとくたいし)1400年御遠忌を迎えたことを記念し、法隆寺、中宮寺および太子ゆかりの奈良・斑鳩の諸寺に伝わる宝物を紹介する展覧会が、北海道立近代美術館において好評開催中だ。

928日には、入場者が3万人を突破するなど予想を大きく上回る来場者だという。

この記事は、この展覧会のご担当の北海道立近代美術館 星野靖隆学芸員と大石智子学芸員にレクチャーいただいたものを基に加筆して記す。

 

 遠忌とは、「おんき」「おんぎ」とも読む仏語で、一般に十三年忌以上、五十年忌、百年忌などの遠い年忌を指す。

 この展覧会は、聖徳太子1400年御遠忌記念で奈良国立博物館と東京国立博物館で開催された「聖徳太子と法隆寺」展の構成とは違う、北海道立近代美術館だけで行われている展覧会で、巡回は一切しない。

 筆者は、ぜひ記事にして読者の皆様にお知らせせねばと北海道を訪れ、前期後期共に鑑賞する機会に恵まれた。

聖徳太子は推古天皇を補佐し、遣隋使派遣、憲法十七条の制定など様々なまつりごとを行い、その多くが日本初とされている。

 摂政として補佐したと習った人もいると思うが、現在の研究では補佐はしたが、摂政という役職ではなかったという。

また、太子は仏教の信仰に篤く、法隆寺や四天王寺などを建立し、仏法興隆の道を開いた。

なかでも法隆寺は、世界最古の木造建造物群である現在の西院伽藍をはじめ、7世紀の美術を今日に数多く伝えており、その価値は我が国第一号の世界文化遺産として、世界に広く認められている。

 太子の住まいである斑鳩宮に隣接して建立された法隆寺は、古来より人々の信仰を集め、1400年以上にわたり法灯を守り続けてきた太子信仰の寺だ。

法隆寺には太子の姿を表した像や絵画、太子が愛用したとされる宝物が伝えられ、まさに太子の遺徳を偲び、太子に祈る寺であるといえよう。

 この展覧会では、法隆寺、中宮寺および太子ゆかりの斑鳩の諸寺に伝わる多数の国宝・重要文化財を含む前後期計約40件の宝物を展示。

そもそも法隆寺の宝物が北海道に来るのが初めてであるし、前後期併せて15点もの国宝が北海道に来るのも初めて。

北海道には、2007年に国宝に指定された1件の中空土偶『茅空』が函館市縄文文化交流センターにある。

これらを合わせると今、現在、計16点もの国宝が北海道に位置していることになる。

 この展覧会の特徴は、法隆寺でもめったに公開されない「聖徳太子および侍者像」や中宮寺の本尊「菩薩半跏思惟(はんかしゆい)像」など、関西にいても間近で鑑賞することができない宝物の数々が展示されていること。

見どころ

1.聖徳太子および侍者像(じしゃぞう)

聖徳太子は救世(くせ)観音の生まれ変わりとして信仰され平安時代には様々な姿であらわされるようになった。

本像は、通常は拝観できない法隆寺聖霊院(しょうりょういん)の本尊(秘仏)。

冠の中央には、四天王のひとつで太子とゆかりの深い毘沙門天が載っている。

太子毘沙門信仰をよく表している例だ。

今回の展覧会では、カッタースポットといわれるピンポイントで照明を当てる方式が採用されているので、比較的見やすい。

太子の口がわずかに開き、下の歯が見える。これは、仏教で、経文の意味・内容を講義し、その功徳をたたえる、いわゆる説教を行なっている最中を捉えた講讃(こうさん)の相を示すものだ。

ちなみに太子は、「勝鬘経(しょうまんぎょう)義疏」、「法華(ほっけ)義疏」、「維摩経(ゆいまぎょう)義疏」という三経義疏(さんぎょうぎしょ)を記した。

 目には青緑色ガラスが入れられており、輝きを放っている。また、わかりにくいがまつ毛を植毛した跡が残っており、太子の姿に近づけようとした努力が感じられる。

太子の背面は截金(きりかね)で彩られており、これは平安時代後期の繊細で優美な趣きが感じられる。

太子の石帯(ベルト)には鬼神が描かれており、(左端がわかりやすいが・・・)背面には鮮やかな彩色が残っている。

なお、侍者像の背面の着物の模様もはっきりと残っている。

 他の展覧会では見られなかった背面にぜひ注目されたい。

 

 以下の画像はフォトギャラリーにて参照されたし。

国宝《聖徳太子および侍者像のうち聖徳太子》 平安時代・保安2年(1121)奈良・法隆寺蔵(画像提供:奈良国立博物館 撮影・西川夏永)

 

2. 中宮寺の本尊 菩薩半跏思惟像(ぼさつはんかしゆいぞう)(伝如意輪観音)

法隆寺東院に隣接した中宮寺は、太子と母后(ぼこう)・穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとのひめみこ)ゆかりの寺院で、現存最古の尼寺。

本尊の国宝 「菩薩半跏思惟像」は、慈愛に満ちた微笑みをたたえ、飛鳥時代の最高傑作として名高い。

仏像の中でも、5本の指には必ず入るくらいの著名かつ人気の高い仏像だ。

組んだ右足にはわずかに彩色が残っているが、下した左足の裏には彩色がはっきり残っているので、ぜひかがんで鑑賞していただきたい。

 

 

国宝 《菩薩半跏思惟像(ぼさつはんかしゆいぞう)(伝如意輪観音)》

飛鳥時代(7世紀)奈良・中宮寺蔵(撮影・三好和義)

 

3. 観音菩薩立像(かんのんぼさつりゅうぞう)(夢違観音)

法隆寺には、仏教伝来からまもない7世紀の仏教美術の精華が伝わる。

この像は、祈ると悪夢を善夢に変えてくれるという伝承から「夢違観音(ゆめちがいかんのん)」の愛称で親しまれている。

国宝《観音菩薩立像(夢違観音)》飛鳥時代(78世紀)奈良・法隆寺蔵(画像提供:奈良国立博物館)

 

4国宝 天寿国繡帳【前期のみ展示:93日〜102日】

太子の妃である橘大郎女(たちばなのおおいらつめ)によって作られ、太子が往生した「天寿国」の有様が緻密な刺繡によってあらわされている。

今は後期に入っているので鑑賞することはできないが、参考として記しておく。

 これは、もともと大きな帳(とばり)であったが、現在の姿は、飛鳥時代に作られた原本の断片と鎌倉時代に作られた模本の断片を江戸時代にアップリケのように貼り交ぜたもの。

 見分け方は、色が鮮明に残っているものが、飛鳥時代の制作。色褪せた方が、鎌倉時代のもの。

2つの蓮の花を比べるとわかりやすい。

時代が下った方のほうが今日まで状態を保持できていないのはなぜか。

大変不思議だ。

染料や糸の撚(よ)り方の違いにより、飛鳥時代の断片の方が色鮮やかに残っている。

飛鳥時代の方は、糸がきつく拠られていて鎌倉時代の方は、ふんわりと拠られている。

これは、表面の光沢が美しく見えるように意図的になされたようだ。

また、染料も鎌倉時代に見たままのものを再現させる努力がなされていたという。

飛鳥時代の方が、材料と技術が進んでいたことを示すのではないか、と筆者は考え、昔の技術の方が優れていて今ではもう作れないものがたくさんある。

何とか昔の技術を保持し継承していく努力をしたい、そんなことをこの展覧会は教えてくれているのかもしれない。

 筆者はこう思うと言うと、北海道立近代美術館 星野靖隆学芸員は、「これだけの時間を超えて保持しているだけでただただすごいことだと思う。」

とおっしゃった。

なるほど、時間と昔の人に素直にリスペクトすることも必要かと感じていた。

が、実は、鎌倉時代に表面の光沢が美しく見えるように柔らかく糸を撚ったのだが、飛鳥時代にきつく撚った方が結果的に今日まで退色せず残ったということだ。

筆者の早合点であった。

星野靖隆学芸員の読者の皆さまにスペシャルコメント

「教科書で見たりどこかで聞いたことがある作品が北海道で見られる貴重な機会です。ぜひ、足を運んでいただき、1400年前の飛鳥時代の奈良・斑鳩の地に伝わった文化財が示す悠久の時を感じていただきたい。」

 

国宝《天寿国繡帳》(部分)飛鳥時代・推古天皇30年(622)頃 奈良・中宮寺蔵(画像提供:奈良国立博物館) ※前期出品

 

この展覧会の出展作品が次に一堂に会するのは、50年後か100年後かというくらい、この機会を逃したら一生見られないくらい貴重な機会なのだ。

また、寺で見られたとしても寺は暗いのでよく見えないし、背面は壁なので背面まで見ることができない。

しかし、ぐるりと回って背面まで見られるのがこの展覧会の特徴だ。

宝物の魅力を存分に味わうことのできる、またとない機会だ。

 104日(火)から、「国宝・法隆寺展」は後期展示に。

重文「聖徳太子像(孝養像)」をはじめ、6点の作品が新たに展示されている。

関西在住の筆者は、札幌に向かい前後期を鑑賞し、講演会も拝聴した。

それだけの時間をかける価値の高い展覧会だ。

見どころ解説が1023日(日)に開催される。大変興味深い講演会なのでぜひ参加をおすすめする。

それぞれのかたの目で鑑賞してどう感じるか。

それぞれのかたの感じ方をしていただきたい。

いよいよ1030日(日)まで。

お見逃しなく。

☆構成

第一章:聖徳太子と法隆寺創建

第二章:太子信仰の美術

第三章:法隆寺西院金堂の仏像と天蓋

第四章:中宮寺の至宝

 

会期

2022.09.03() - 2022.10.30()

※前期09.03() - 10.02()、後期10.04() - 10.30()

 

会場

北海道立近代美術館

主催

法隆寺、北海道立近代美術館、北海道新聞社、テレビ北海道、日本経済新聞社

 

学術協力

奈良国立博物館

 

後援

北海道、札幌市、札幌市教育委員会

 

協賛

アインホールディングス、さっぽろ脊椎外科クリニック、ダイキン工業、大和ハウス工業、つうけんグループ、ニトリホールディングス、NIPPON EXPRESSホールディングス、よつ葉乳業

 

協力

エプソン販売、金澤製作所、大光電機

 

観覧料

一般:1,800(1,600)円、高大生:1,000(800)円、中学生700(500)

( )内は以下の割引料金。

10名以上の団体料金

・リピーター割引料金(北海道立近代美術館または他の道立美術館・芸術館で開催した特別展の観覧半券をご提示の場合。1枚につきお一人様1回限り有効。有効期限は半券に記載。)

・アートギャラリー北海道相互割引料金

 

近美コレクションとの共通券/一般:2,000円、高大生:1,050円(当日券のみ)

※近美コレクションは65歳以上、中学生以下、障害者手帳をお持ちの方などは無料。

 

無料になる方

小学生以下(要保護者同伴)、身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方(ミライロID利用可)及びその介護者(1名)など。

 

☆関連事業

見どころ解説

日時:1023日(日)14時~(約30分間、開場1330分)

講師:北海道立近代美術館学芸員

会場:北海道立近代美術館講堂(聴講無料)

定員:100

 

開館時間 

午前930分ー午後5

 

☆展覧会公式サイト

         http://event.hokkaido-np.co.jp/horyuji/

☆北海道立近代美術館ホームページ

     https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/knb/

☆問い合わせ

北海道立近代美術館 TEL 011-644-6882

☆読者プレゼント 

   510名様にご招待券 プレゼント

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

   件名:展覧会名と会場名

   本文:ご住所、お名前

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

       締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時

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