生誕150年 横山大観展 The 150th Anniversary of his Birth: Yokoyama Taikan

 

生誕150年 横山大観展

 

The 150th Anniversary of his Birth: Yokoyama Taikan

 

 

 

横山大観(1868-1958年)の生誕150年、没後60年を記念した回顧展が、東京国立近代美術館で好評開催中である。

 

大観は、東京美術学校に第1期生として入学。

 

岡倉天心、橋本雅邦らに学ぶ。

 

東京美術学校を卒業後、京都に移って仏画の研究を始め、同時に京都市立美術工芸学校予備科教員となる。

 

この京都時代より雅号「大観」を使い始めるようになった。

 

1896年(明治29年)、同職を辞すと、母校・東京美術学校の助教授に就任。

 

しかし、約2年後に当時校長だった天心への排斥運動が起こり、天心が失脚。

 

天心を師と仰ぐ大観はこれに従って助教授職を辞し、同年の日本美術院を創設する。

 

新たな絵画の創出を目指したのだ。

 

西洋からさまざまなものや情報が押し寄せる時代の中、日本の絵画の伝統的な技法を継承しつつ、時に改変を試みた。

 

それは、主題にもおよび、従来の定型から脱し、新たな主題を模索し始める。

 

やがて大観は、その手法をさらに広げ、自在な画風と深い精神性をそなえた数々の大作を生み出して行く。

 

  この展覧会では、

 

40メートル超で日本一長い画巻、水墨画の集大成ともいえる《生々流転(せいせいるてん)》 (重要文化財)

 

《夜桜》

 

《紅葉》

 

をはじめとする代表作に、数々の新出作品や習作などの資料をあわせて展示している。

 

 

 

《生々流転》は、 1923(大正12)年作の絹本墨画で東京国立近代美術館蔵の重要文化財だ。

 

  全長40メートル超。日本一長い画巻に水の一生の物語を描く。

 

スタートは山間に湧く雲。

 

雲が一粒の滴となり、地に落ちて流れはじめる。

 

川は周囲の山々や動物、人々の生活を潤しながら次第に川幅を増し、やがて海へと流れ込む。

 

荒れ狂う海には龍が躍り、水はついに雲となって天へと昇る。

 

そして物語は振り出しに戻るのだ。

 

大観の水墨技法のすべてがここに注ぎ込まれている。

 

京都展は巻き替えがあるが、東京展ではすべて鑑賞できる。

 

これは、東京で鑑賞する「特典」といえよう。

 

以下の画像はフォトギャラリーにて参照されたし。

 

重要文化財「生々流転」(部分)        1923           横山大観    東京国立近代美術館    巻子、絹本墨画 55.3×4070.0 cm   京都展:巻き替えあり

 

 

 

重要文化財「生々流転」(部分)        1923           横山大観    東京国立近代美術館    巻子、絹本墨画 55.3×4070.0 cm   京都展:巻き替えあり

 

 

 

また、58日からは、《夜桜(よざくら)》と《紅葉(こうよう)》の同時展示が実現!

 

「夜桜」 (右隻)  1929                  横山大観    大倉集古館 六曲一双、紙本彩色 177.5×376.8 cm

 

 

 

「夜桜」 (左隻)1929    横山大観    大倉集古館 六曲一双、紙本彩色 177.5×376.8 cm

 

                    東京展:58日~527

 

京都展:68日~71

 

 

 

《夜桜》は、燃え盛る篝火(かがりび)に夜桜が浮かびあがり、夢幻の世界へといざなう。

 

ローマ日本美術展(1930年)に出品された大観渾身の作で、

 

大観といえば《夜桜》。

 

《夜桜》といえば大観。

 

といわれるほど、大観を代表する作品だ。

 

また、《紅葉》は、鮮明な色にプラチナが輝く絢爛豪華な作品。

 

力強い造形によって日本画材の美しさを最大限に引き出している。

 

「紅葉」 (右隻) 1931   横山大観    足立美術館 六曲一双、紙本彩色 163.3×361.0 cm

 

 

 

「紅葉」 (左隻) 1931  横山大観    足立美術館 六曲一双、紙本彩色 163.3×361.0 cm

 

                    東京展:58日~527

 

京都展:68日~71

 

 

 

日本の春と秋を代表する桜と紅葉。

 

大観の作品によってこの2つの美しい季節を体感することができるのだ。

 

今から105年前に刊行された『大観画集』(芸艸堂、1912年刊)にモノクロで掲載されて以降、行方が分からなかったのが、《白衣観音(びゃくえかんのん)》。

 

文展で受賞した《流燈》(1909年、茨城県近代美術館蔵)と同時期の作で、幅は倍以上ある大作だ。観音のいささか短い手足や、描写は緻密なのに立体感や奥行きにつながらない点にもどかしさがあるが、それらを差し引いても余りある魅力ある作品だ。

 

100年ぶりの「発見」で、この展覧会で鑑賞できる。

 

この作品は、個人蔵なので次はいつ見られるかわからない。

 

もちろん、初出展だ。

 

「白衣観音」                   1908           横山大観    個人蔵        軸、絹本彩色 140.3×113.4cm       

 

 

 

出品点数92点。

 

本画84点、習作ほか資料8点を展観する大回顧展だ。

 

これらの展示により、大観の制作の過程から大観芸術の本質を改めて考察を試みようとする展覧会。

 

「山路」       1912           横山大観    京都国立近代美術館    軸装、絹本彩色 159.6×70.9 cm    

 

 

 

「或る日の太平洋」        1952   横山大観          東京国立近代美術館    額装、紙本彩色 135.0×68.5 cm    

 

 

 

「風蕭々兮易水寒」        1955           横山大観    名都美術館 絹本墨画 64.8×87.0 cm                

 

 

 

横山大観ポートレート(昭和8年頃) 写真提供:横山大観記念館                              

 

 

 

 

 

「群青富士」は、東京展は終了し見られないが、鑑賞したい方は、ぜひ京都へ。

 

参考として画像を掲げておく。

 

「群青富士」(右隻)       1917      横山大観    静岡県立美術館            六曲一双、絹本金地彩色 176.0x384.0 cm

 

「群青富士」(左隻)       1917      横山大観    静岡県立美術館            六曲一双、絹本金地彩色 176.0x384.0 cm        

 

東京展:413日~56日 (東京展は終了)

 

京都展:73日~722

 

 

 

お見逃しなく。

 

 

 

  大観について、筆者は以下などで記事を記しているので参照されたし。

 

 ☆岡倉天心生誕150年・没後100年記念 /『國華』創刊125周年 / 朝日新聞創刊135周年 「横山大観展―良き師、良き友」

 

     http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14

 

☆参考

 

〇特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-05-24

 

〇平櫛田中展

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 

〇五浦六角堂再建記念 五浦と岡倉天心の遺産展

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-05-13

 

 

 

 

 

会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー ・ 2F ギャラリー4 

 

会期:2018413日(金)~2018527日(日) 

 

開館時間:10:00-17:00 ( 金曜・土曜は10:00-20:00

 

*入館は閉館30分前まで  休館日:月曜

 

  観覧料:【当日券】

 

 一般 1,5001,300)円

 

 大学生 1,100900)円

 

 高校生 600400)円

 

*中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。

 

それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障がい者手帳等をご提示のこと。

 

 *本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」も鑑賞可。

 

主催:東京国立近代美術館

 

 京都国立近代美術館

 

 日本経済新聞社

 

 毎日新聞社

 

 特別協賛:大和ハウス工業

 

 協賛:東レ、ライブアートブックス

 

 特別協力:横山大観記念館

 

 協力:あいおいニッセイ同和損保

 

☆東京国立近代美術館

 

    http://www.momat.go.jp/

 

☆特設サイト

 

http://taikan2018.exhn.jp/

 

 

 

☆読者プレゼント 

 

   510名様にご招待券 プレゼント

 

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

   件名:展覧会名と会場名

 

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   をお書きの上どしどしご応募下さい。

 

       締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時

 

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☆巡回予定

 

  京都国立近代美術館 201868日(金)~ 722日(日)

 

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