特別展 北斎だるせん!だるま先生北斎、名古屋をゆく。

 

特別展 北斎だるせん!

 

 

だるま先生北斎、

名古屋をゆく。

 

 

 

  「冨嶽三十六景」でおなじみの江戸の浮世絵師、葛飾北斎(かつしかほくさい)(17601849)。

 

 北斎が一時期名古屋に住んでいたのをご存じだろうか?

  

 今からちょうど200年前、北斎は縦18mの大だるまを即興で描くイベントを名古屋で開催したのだ。

 

そしてそれは、北斎に「だるせん(だるま先生の略)」というあだ名が生まれるほど話題を呼んだ。

 

大だるまイベントを巡る熱狂を中心に、北斎と名古屋の関わりを紹介する展覧会が、名古屋市博物館で好評開催中だ。

 

 これ以下の画像はフォトギャラリーで参照されたし。

北斎に関しては、筆者は以下などで記しているので参照されたし。

 

〇館蔵品展 安土桃山~江戸時代に生きた人々 ―肖像画・風俗画・浮世絵― 

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-06-28-1

 

〇日独交流150周年記念 ハンブルク浮世絵コレクション展

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-09-07

 

〇特別展「四大浮世絵師展」

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-11-17

 

〇三菱一号館美術館コレクション(II) トゥールーズ・ロートレック展

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-12-09

 

〇没後150年 歌川国芳展

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19

 

〇北斎展 葛飾北斎生誕250周年記念

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-03-09

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-05-20

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-08-18-1

 

〇江戸東京博物館 開館20周年記念特別展 日本橋 ~描かれたランドマークの400年~

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-07-03

 

〇ブリヂストン美術館開館60周年記念 オルセー美術館、オランジュリー美術館共同企画 「ドビュッシー、音楽と美術 ―印象派と象徴派のあいだで」

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-10-01

 

〇読売新聞大阪発刊60周年特別展「北斎」 ―風景・美人・奇想―

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28

 

〇写楽、北斎、広重参上。平木コレクション特別公開!浮世絵の美展

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-01-06

 

〇島根県立美術館・版画コレクション選 風景版画の変容 「浮世絵」の風景から「版画」の風景へ

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-01-26

 

〇東京富士美術館所蔵 近代日本画の精華

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-04-25-1

 

〇あっぱれ北斎!光の王国展  見る者を驚かせ魅了する葛飾北斎のあっぱれ!な世界へ 

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-05-05-1

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-12-04

 

〇浮世絵の美   平木コレクション名品展

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06

 

〇ご覧あれ 浮世絵の華展 ―歌麿・広重・北斎 平木コレクションの名品展 

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-08-23

 

〇「うらめしや~、冥途のみやげ」展―全生庵・三遊亭圓朝 幽霊画コレクションを中心に― 

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-08-25

 

〇肉筆浮世絵の世界 -美人画、風俗画、そして春画- 

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-09-17

 

〇フィラデルフィア美術館浮世絵名品展 錦絵誕生250年 春信一番!写楽二番! 

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-11-28

 

〇北斎の富士  冨嶽三十六景と富嶽百景

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2016-01-18

 

〇大阪フィルハーモニー交響楽団第497回定期演奏会井上道義指揮 

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

 

〇アール・ヌーヴォーの装飾磁器  Decorated Porcelain in Art Nouveau Period

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2017-03-07

 

 

 

さて、北斎と名古屋の関わりは深いのだが、あまり今までの北斎展では語られて来なかった。

 

この展覧会では、名古屋という開催地域を考えて展覧会が構成されているので、これまでの北斎展にはない画期的な試みがなされている。

 

「漫画」という言葉は、そもそも字義的には「気の向くままに漫然と描いた画」という意味だ。

 

北斎は、北斎漫画(ほくさいまんが)の序文や題名で、用語「漫画」が「絵による随筆」「戯画風のスケッチ」という意味で使用した。

 

そして時代は流れ、マンガは、日本ではぐくまれた独自の文化として、今や、世界では日本の印象の代名詞と化している。

 

今や、世界語の“MANGA”。

 

実は、この北斎漫画は名古屋で誕生した本なのだ。

 

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、日本の美術工芸品が、西洋の美術、工芸、装飾などの幅広い分野に影響を与えたのは、北斎漫画がきっかけという。

 

そして、ジャポニスムがヨーロッパ各地で広がる。

 

北斎は、エドゥアール・マネ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・セザンヌ、ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー、エドガー・ドガ、クロード・モネ、ポール・ゴーギャン、ピエール=オーギュスト・ルノワール、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、アンリ・リヴィエール、シャルル・マルタン・エミール・ガレ、クロード・ドビュッシーなど多くの芸術家に影響を与えた。

 

・エミール・ガレの以下の作品には、北斎漫画の初編に載る蛙の図が転用されている。

 

 

エミール・ガレ   蛙・蓮文花器    個人蔵

 

 

 

2011年、独・ベルリンのマルティン・グロピウス・バウ(Martin-Gropius-Bau)にて開催された「日独交流150周年記念 北斎展」。

 

その記者内覧会に筆者は参加して来たが、その時、ドイツのテレビ局は、現在の日本のマンガ本をページを繰りながら撮影し、北斎漫画につなげていた。

 

海外のかたの認識を感じさせられた体験だった。

 

ドイツ大統領もオープニングセレモニーに出席するなどドイツでの北斎の評価は高い。

 

また、メディアもドイツのテレビ局や雑誌など日本のメディアの数より多く、注目が集まっていた。

 

さて、北斎は、文化9年(1812)と文化14年(1817)の少なくとも二度、名古屋に来ている。

 

文化9年(1812)の秋、北斎は関西旅行の途中、名古屋の門人牧墨僊(まきぼくせん)宅に半年ほど滞在した。

 

その時、北斎が描いたという三百点余りの絵を、永楽屋東四郎(えいらくやとうしろう)が文化11年(1814)に出版したのが北斎漫画だ。

 

葛飾北斎「北斎大画即書引札」    名古屋市博物館蔵     

 

 

 

さらに文化14(1817)にふたたび来名した北斎は、二度目の滞在時には花屋町にあった家に住んだという。

 

同年105日、西掛所(にしかけしょ)(現本願寺名古屋別院〔西別院〕)にて120畳敷(縦約18m、横約11m)の紙に大だるまの半身像を描くイベントを行なった。

 

これは、『北斎漫画』を出版する二代目永楽屋東四郎がブックセールスの一環として仕掛けたものと考えられている。

 

この模様を尾張藩士の高力猿猴庵(こうりきえんこうあん)が、詳細な記録に残している。

 

高力猿猴庵『北斎大画即書細図』  

 

この時、北斎は、数えで58歳。

 

残念ながら北斎が描いた大だるまそのものは現存していない。

 

そこで、この展覧会では、猿猴庵の記録を基として、大だるま(部分)と大筆を原寸で復元している。

 

大筆を揮う北斎の気力と技量を体感したい。

 

そして、これだけの大きなイベントを仕掛け、そして見事に成功をおさめた人たちが200年前の名古屋にいたのだ

ということを感じていただきたい。

 

この展覧会では、この頃、活況を呈していた名古屋の出版界と永楽屋東四郎、そして墨僊ら北斎の門人たちの活動も併せて紹介している。

 

筆者は以前、『読売新聞大阪発刊60周年特別展「北斎」 ―風景・美人・奇想―』の記事で

 

以下のように記している。

 

「北斎は、大坂を訪れたと考えられている。(一説に文化9[1812]および同1415年頃)。確かな証拠は見つかっていないが、北斎が描いた『北斎画式』という絵手本が大坂の版元を中心に出版されたり、北洲や北敬という大坂の浮世絵師たちが北斎に弟子入りしたりしていることからも、北斎が来坂した可能性はかなり高いといえるであろう。

 

というのも、北斎の来坂をうかがわせる資料として、「今様櫛きん雛形』という今でいうデザインブックに「きのくにへこゆるときこのせいさくをみたり~」と紀州に行っていて紀州を超える時に見たというようなことを書いているからだ。」

 

2017年の今でも、北斎が大阪に立ち寄ったという確かな証拠は出ていない。

 

しかし、名古屋には、猿猴庵の詳細な記録が残っているのだ。

 

筆者の住む大阪には記録は残っておらず、名古屋にはある。

 

名古屋のかたがたは、このことをぜひ誇りに思っていただきたい。

 

そして、猿猴庵の尽力は高く評価されるべきであろう。

 

その後、江戸に戻った北斎は、大判錦絵作品に挑む。

 

そしてついに傑作「冨嶽三十六景」を生み出すのだ。

 

この展覧会では結びとして、「冨嶽三十六景」シリーズ中に描かれた名古屋の図「冨嶽三十六景 尾州不二見原」に焦点をあてながら、北斎作品の魅力をひもとく構成だ。

 

これは、名古屋から見た富士山の図だ。

 

大きな桶(円)のなかから富士山(三角)をのぞき見るという北斎ならではの幾何学的構図が特徴で、シリーズ中でも評価が高い作品だ。

 

葛飾北斎「冨嶽三十六景 尾州不二見原」    個人蔵

 

 

 

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(株)ティ・エス・ケー蔵

 

 

 

葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」(株)ティ・エス・ケー蔵 

 

北斎はなぜ名古屋を訪れたのか?

 

名古屋の人たちにとって北斎をどういう存在だったのか?

 

  名古屋の北斎門人らの活動は?

 

  今、その謎が解き明かされる。

 

  名古屋だからこそ成しえた展覧会。

 

  この展覧会は、今後の北斎研究に一石を投じることになるであろう。

 

  美術史上も大変重要な展覧会だ。

 

 お見逃しなく。

 

 

 

☆企画構成

 

   第1章)Before 名古屋

 

   第2章)北斎、漫画を描く

 

第3章)北斎、大だるまを描く

 

第4章)名古屋の仲間たち

 

第5章)After 名古屋

 

 

 

※会期中、ページ替えを行う作品あり。

 

 

 

観覧料

 

一般          高校・大学生     中学生以下

 

1,3001,100)円     900700)円       無料

 

※( )内は20名以上の団体料金。

 

※名古屋市交通局の一日乗車券・ドニチエコきっぷを利用して来館された方は100円割引。

 

※身体等に障がいのある方または難病患者の方は、手帳または受給者証のご提示により、本人と介護者2名まで当日料金の半額。

 

※各種割引は重複してご利用は不可。

 

会  期

 

平成29年(20171118日(土)~1217日(日)

 

会  場

 

名古屋市博物館 〒467-0806 名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1

 

TEL.052-853-2655 FAX.052-853-3636 

 

地下鉄桜通線「桜山」下車、4番出口から徒歩5分。

 

休 館 日

 

毎週月曜日・第4火曜日[1211日(月)]

 

開館時間

 

9:3017:00(入場は16:30まで)

 

主  催

 

名古屋市博物館・中京テレビ放送

 

協  賛

 

愛知トヨタ自動車株式会社

 

協  力

 

浄土真宗本願寺派 本願寺名古屋別院(西別院)

 

☆名古屋市博物館サイト

 

     http://www.museum.city.nagoya.jp/

 

☆展覧会公式サイト

 

http://www.ctv.co.jp/event/darusen/

 

☆講演会

 

129日(土) 「名古屋の北斎 だるせんと仲間たち」

 

講師: 津田 卓子 名古屋市博物館学芸員

 

開演:1330分(開場は1300分)

 

会場:地下1階講堂(定員220名)

 

聴講無料(ただし本展観覧券が必要。観覧済半券も可)。

 

※当日930分より聴講整理券を展覧会場入口で先着順に配布(1観覧券につき1枚のみ)。

 

【注意事項】

 

※講演会で、手話通訳・要約筆記などによるサポートをご希望の方は、当日の2週間前までにご相談のこと。

 

☆展示説明会

 

125日(火)

 

126日(水)

 

講師: 津田卓子 名古屋市博物館学芸員

 

開講:いずれも1030分(開場は10時)

 

会場:1階展示説明室(定員100名)

 

聴講無料。

 

【注意事項】

 

※展示説明会で、手話通訳・要約筆記などによるサポートをご希望の方は、当日の2週間前までにご相談のこと。

 

 

 

☆名古屋歴史スマートナビ「北斎だるせんコース」

 

スマートフォンにアプリ(無料)をインストールして、名古屋における北斎の足跡を巡ろう。

 

特別展「北斎だるせん!」会場入口にて、アプリのアイコン画面と本展観覧券(観覧済半券も可)をご提示で記念品プレゼント。

 

記念品の引き換えは11回限り、会期中先着500名。

 

インストールは「App Store」または「Google Play」から「名古屋歴史スマートナビ」で検索。

 

アプリ公開期間:2017111日(水)~1217日(日)

 

記念品交換期間:本展開催期間中(休館日を除く)。

 

 ※一部アプリに対応していない機種があり。

 

アプリ問い合わせ:名古屋文化遺産活用実行委員会(名古屋市歴史まちづくり推進室)

 

info758rekishi.com

 

 

 

☆読者プレゼント 

 

   510名様にご招待券 プレゼント

 

   あて先 :loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

   件名:展覧会名と会場名

 

   本文:ご住所、お名前

 

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

 

       締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時

 

   送達対応いたします。

 

   発送をもって当選と代えさせていただきます。

 

  

 

☆ご意見・ご要望・ご感想のお願い

 

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   あて先 :loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

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