国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展10th Anniversary of the National Art Center, Tokyo Alberto Giacometti Collection Fondation Marguerite et Aimé Maeght

 

国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展

 

10th Anniversary of the National Art Center, Tokyo 

Alberto Giacometti Collection Fondation Marguerite et Aimé Maeght

 

 

 

  

マーグ財団美術館の中庭に立つジャコメッティ

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

 

20世紀のヨーロッパにおける最も重要な彫刻家のひとり、アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti 1901-1966年)。

 

 スイスに生まれ、主にフランスで活躍したジャコメッティは、身体を線のように長く引き伸ばした、個性的でまったく新たな彫刻で有名だ。

 

 一目でジャコメッティの作品とわかる作家性には目を見張るものがある。

 

 そのジャコメッティの初期から晩年まで、彫刻、油彩、素描、版画など、選りすぐりの作品、132点が出品されている展覧会が、国立新美術館で開催中だ。

 

 ジャコメッティは、最初、アフリカやオセアニアの彫刻やキュビスムに傾倒する。

 

そして、1920年代の終わりから参加したシュルレアリスム運動など、同時代の先鋭的な動きを存分に吸収してゆく。

以下画像は、http://artnews.blog.so-net.ne.jpをご参照されたし。

 

《女=スプーン》 1926/27 年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

さらに1935年ごろから、モデルに向き合いつつも独自のスタイルの創出へと歩み出すのだ。

 

あまりにも独創性豊かな作品なのだが、その特異な造形が、当時から実存主義や現象学の文脈でも評価された。

 

 ジャコメッティは、見ることと造ることのあいだの葛藤の先に、虚飾を取り去った人間の本質に迫ろうとしたという。

 

21世紀の今でも前衛的なジャコメッティの彫刻が当時受け入れられたことは、彼の試みが同時代の精神にマッチしていた何よりの証拠であろう。

 

  またジャコメッティは、日本人哲学者である矢内原伊作(やないはら・いさく 19181989年)と交流したことでも知られる。

 

  矢内原伊作は、サルトルやカミュに惹かれ、本格的に実存主義の立場で哲学を研究。

 

また造形芸術に関心が深く、渡仏し彫刻家ジャコメッティと深い親交を持った。

 

矢内原伊作の多くの肖像画や胸像がジャコメッティにより製作されている。

 

1948年宇佐見英治らとともに文芸誌『同時代』を創刊。

 

矢内原伊作は、ジャコメッティのアトリエでの対話をはじめとする数々のエッセイを発表した。

 

また、矢内原伊作は、大阪大学文学部助教授、同志社大学助教授、学習院大学助教授、法政大学文学部哲学科教授を歴任。

 

ジャコメッティは、矢内原伊作をモデルとして作品を制作し、それはジャコメッティに多大な刺激を与えたという。

 

  さて、筆者は、2007年から2008年にかけてポンピドーセンターにて行われたパリのアルベルト・ジャコメッティ財団が共同で開催する回顧展 L'atelier d'Alberto Giacometti (collection de la fondation Alberto et Ann  ette Giacometti) アルベルト・ジャコメッティのアトリエ を拝見した。

 

 その展覧会で、矢内原伊作の作品を初めて見た感動が忘れられない。

 

 また、その展覧会ではジャコメッティがニューヨークの摩天楼に囲まれた広場に設置するための巨大な作品、≪立っている女≫、≪歩く男≫、≪大きな頭部≫が出品されていた。

 

 その大きさには、圧倒されるほどだが、それらもすべて小さな暗いアトリエで生み出したものという。

 

この時、ポンピドーセンターで展示されていた作品は、おそらくパリのアルベルト&アネット・ジャコメッティ財団所蔵のものだが、この国立新美術館では、マルグリット&エメ・マーグ財団美術館所蔵ものが鑑賞できるのだ。

 

 

 

☆ポンピドーセンター アルベルト・ジャコメッティのアトリエ

 

https://www.centrepompidou.fr/cpv/ressource.action?param.id=FR_R-9d3d1687f5fecc8a839d2d827bb7bba&param.idSource=FR_E-da3bee9d245163db912956e7e941bed9

 

《鼻》 1947 年 ブロンズ、針金、ロープ、鉄 大阪新美術館建設準備室

 

 

 

 

 

《小像》 1946/80 年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

《大きな像(女:レオーニ)》 1947 年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

また、この展覧会では、豊田市美術館など日本国内のコレクションとマルグリットとエメ・マーグ夫妻のコレクションを所蔵しているマルグリット&エメ・マーグ財団美術館のコレクションにより構成されている。

 

このコレクションは、パリとチューリヒのジャコメッティ財団と並び世界3大ジャコメッティ・コレクションのひとつと呼ばれ、その量と質において世界最高峰だ。

 

マルグリット&エメ・マーグ財団美術館は、鷹の巣村(岩山の上に造られた鷹の巣のように見える村)のひとつ、ニース近郊サン=ポール・ド・ヴァンスに位置し、ヨーロッパを代表する20世紀美術の殿堂として、50年あまりの歴史を誇る。

 

1964年のマーグ財団美術館の落成式には、時の文化相アンドレ・マルローも出席したという。

 

マーグ夫妻は、ミロ、カルダー、レジェ、ブラック、ジャコメッティ、シャガールなどの偉大な作家たちと友情を育み、その豊かな交流とコレクションにより美術館を設立するに至ったという。

 

ミロやシャガール、ブラックなど、作家たちの特別な協力を得て、この美術館のために制作された彫刻や壁画などが随所に設置されていることも大きな特徴だ。

 

1945年、マーグ夫妻は、パリにマーグ画廊を開く。

 

1947年、ジャコメッティの作品を購入し始め、1951年には、ジャコメッティのパリで初めての大規模な個展をマーグ画廊が開催。

 

《犬》 1951 年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

ジャコメッティは、1964年、マーグ財団美術館設立に向けて主要な彫刻35点を鋳造するともに、30点の素描と約100点の版画を寄贈し特別協力する。

 

☆マルグリット&エメ・マーグ財団美術館(Fondation Maeght

 

    http://www.fondation-maeght.com/en

 

 

 

マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

  この展覧会は、日本で開催されるジャコメッティ展としては11年ぶりの個展であり、初期から晩年まで、彫刻約50点、絵画約5点、素描と版画約80点が出品される大回顧展だ。

 

《犬、猫、絵画》 1954 年 リトグラフ、ヴェランダルシュ紙 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Photo Claude Germain –Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

ジャコメッティは、モデルを前に、あるいはモデルの記憶をもとにして人物を描き、彫刻を制作したという。

 

アトリエの内部やモデルとの制作の様子を表す素描や版画、記録写真がこの展覧会に展示されている。これらを通じて、ジャコメッティの創作の秘密に迫る構成。

 

この展覧会では、ジャコメッティのあらゆる時代の代表的な彫刻が集結しているので、ジャコメッティの全貌をとらえることができる。

 

3 人の男のグループⅠ(3 人の歩く男たち1)》 1948/49 年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

《林間の空地、広場、9 人の人物》 1950 年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

 

 

《ディエゴ》 1949 年 鉛筆、紙 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Photo Claude Germain –Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

《ディエゴの胸像》 1954 年 ブロンズ 豊田市美術館

 

 

 

 

 

《ヴェネツィアの女Ⅰ》 1956 年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

 

 

チェース・マンハッタン銀行からの依頼を受けて、ニューヨークの広場のために制作された3点の大作、《歩く男Ⅰ》《女性立像Ⅱ》《大きな頭部》がそろって出品。

 

このプロジェクトは残念ながら実現しなかったが、最晩年のジャコメッティの挑戦を、壮大なスケールによって体感できる。

 

 ジャコメッティは生前、以下のように語っているという。

 

 「小さな空間さえあれば。非常に大きな作品を作る時でもそうだ。大きな作品を作るために大きなアトリエがいるという人がいるが、それは間違っている。大きな作品のために必要なものは小さな作品のために必要なものと全く同じだ」(矢内原伊作『ジャコメッティとの会話』彩古書房)

 

  ここ日本において、3作品がそろって出品されていることは、ジャコメッティにとっても矢内原伊作にとっても感慨深いことであろう。

 

巡回予定は豊田市美術館のみ。稀有な機会をお見逃しなく。

 

 

 

《歩く男Ⅰ》 1960 年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス

 

Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 

 

 

会 期

 

2017年(平成29年)614日(水)~94日(月)

 

毎週火曜日休館 

 

 

 

開館時間

 

10:00-18:00

 

※毎週金曜日、土曜日は20:00まで

 

※入場は閉館の30分前まで 

 

 

 

会 場

 

国立新美術館 企画展示室1E

 

106-8558 東京都港区六本木7-22-2 

 

 

 

主 催

 

国立新美術館、マーグ財団美術館、TBS、朝日新聞社

 

 

 

共 催

 

東急エージェンシー、ソニー・ミュージックエンタテインメント

 

 

 

後 援

 

スイス大使館、フランス大使館、BS-TBSJ-WAVETBSラジオ

 

 

 

協 賛

 

日本写真印刷

 

 

 

協 力

 

日本航空、あいおいニッセイ同和損保

 

 

 

観覧料(税込)

 

当日

 

1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生)

 

団体

 

1,400円(一般)、1,000円(大学生)、600円(高校生)

 

中学生以下および障害者手帳をご持参の方(付添いの方1名含む)は入場無料。

 

82日(水)~7日(月)は高校生無料観覧日。(学生証の掲示が必要)

 

 

 

 

 

☆展覧会ホームページ

 

       http://www.tbs.co.jp/giacometti2017

 

☆国立新美術館ホームページ

 

      http://www.nact.jp

 

 

 

☆読者プレゼント 

 

   510名様にご招待券 プレゼント

 

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

   件名:展覧会名と会場名

 

   本文:ご住所、お名前

 

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

 

       締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時

 

   速達など最速の方法でお送りいたします。

 

発送をもって当選と代えさせていただきます。

 

   

 

    

 

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☆巡回予定

 

  豊田市美術館 2017年(平成29年)1014日(土)〜1224日(日)