杉本博司 ロスト・ヒューマン

    杉本博司 《パラマウント・シアター、ニューアーク》 (スタンリー・クレーマー『渚にて』19592015年 ゼラチン・シルバー・プリント  ©Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

 

杉本博司 ロスト・ヒューマン

Hiroshi Sugimoto  Lost Human Genetic Archive

 

 

2016(平成28)年9月、リニューアル・オープンした東京都写真美術館。

 

2014(平成26)年から約2年もの間、大変待ち遠しかったのは、筆者だけではあるまい。

 

改修工事を経て、そのリニューアルとともに総合開館20周年を記念した展覧会が、「杉本博司ロスト・ヒューマン」展だ。

 

 杉本博司は1970年代からニューヨークを拠点とし、〈ジオラマ〉〈劇場〉〈海景〉などの大型カメラを用いた精緻な写真表現で国際的に高い評価を得ているアーティストだ。

 

しかし、近年は歴史をテーマにした論考に基づく展覧会や、国内外の建築作品を手がけるなど、その活躍の場はかなり広がり、現代美術や建築、デザイン界等にも多大な影響を与えているほどだ。

 

また、料理やおもてなしについても一流の腕を誇り、収集家としても名高い。

 

 杉本博司については以下で記しているので参照されたし。

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-06-14

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-07-02-1

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2016-06-10

 

http://art-news-jp.jimdo.com/2016/06/10/杉本博司-趣味と芸術-味占郷/

 

  これらの記事を読まれた読者のかたから、この展覧会についての問い合わせや行って来られた感想など多くのメッセージやお知らせを頂戴している。

 

 

 

 「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」

 

  この展覧会は、「人類と文明の終焉」をテーマに、「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」という杉本自身のテキストを携え、展覧会は進んで行く。

 

展覧会はまず、文明が終わる33のシナリオから始まる。

 

≪理想主義者≫

 

≪比較宗教学者≫

 

≪宇宙物理学者≫

 

などの遺物と化した歴史や文明についてのインスタレーションを巡る構成。

 

 これは、2014年、パリのパレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)で発表し、好評を博した展覧会、「Aujourd’hui, le monde est mort [Lost Human Genetic Archive] Hiroshi Sugimoto」を東京ヴァージョンとして新たに制作したもの。

 

    

 

   ☆パレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo

 

         http://www.palaisdetokyo.com

 

         http://www.palaisdetokyo.com/en

 

Aujourd’hui, le monde est mort [Lost Human Genetic Archive] Hiroshi Sugimoto

 

http://www.palaisdetokyo.com/en/event/aujourdhui-le-monde-est-mort-lost-human-genetic-archive

 

 さらに自身の作品や蒐集した古美術、化石、書籍、歴史的資料等から構成されており、目が離せない。

 

 

 

   世界初発表となる新シリーズ<廃墟劇場>

 

本邦初公開<今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない>

 

新インスタレーション<仏の海>

 

これらの3シリーズを2フロアに渡って展示し、作家の世界観、歴史観に迫る。 

 

経済のダメージ、映画鑑賞環境の激変などから廃墟と化したアメリカ各地の劇場で、作家自らスクリーンを張り直して映画を投影し、上映一本分の光量で長時間露光した作品だ。

 

8×10大型カメラと精度の高いプリント技術によって、朽ち果てていく華やかな室内装飾の隅々までが目前に迫り、この空間が経てきた歴史をえぐるように見る者に訴えかける。

 

芸術という名に逃げてはいないか。芸術なら許されるという甘い考えや見つめたくない現実に警告を発しているようだ。

 

 杉本の作品は、ガーンと衝撃を受けるほど、心に突き刺さる。

 

 シリーズ<仏の海>は、  10年以上にわたり作家が取り組んできた、京都 蓮華王院本堂(通称、三十三間堂)の千手観音を撮影した<仏の海>の待望の大判作品による新インスタレーションだ。

 

人類と文明が遺物となってしまわないためにどう行動するか。地球全体の問題として一人一人が意識をもっていかなければならない。

 

ちなみに文明の英語訳は、civilizationだ。

 

以前、以下で筆者が書いた記事を抜粋する。

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-11-11

 

有名な「風と共に去りぬ」の英語のタイトルは、” GONE WITH THE WIND”だ。

 

しかし、いきなり過去分詞が冒頭に来るのに疑問を抱かないだろうか。

 

実は、この”GONE WITH THE WIND”の前に、” A Civilization”が省略されているのだ。

 

筆者が中学生のころ、父から、「”GONE WITH THE WIND”の訳は?」と質問され、「『風と共に去りぬ』 でしょ。」と答えた。

 

「では、主語は何か。」と質問され、答えられなかった。

 

その後、映画のパンフレットだったであろうか、”GONE WITH THE WIND”の上に小さく”A Civilization”と書かれてあるのを発見し、なるほどと納得したことを思い出した。

 

 

 

この映画のプロローグには、

 

"There was a land of Cavaliers and Cotton Fields called the Old South....Here in this

 

patrician world the Age of Chivalry took its last bow....Here was the last ever

 

to be seen of Knights and their Ladies Fair, of Master and of Slave....Look for

 

it only in books, for it is no more than a dream remembered, a Civilization

 

gone with the wind...."

 

と述べられている。

 

 このマーガレット・ミッチェルによる小説は、何が風と共に去ってしまったのか?

 

本来、本国から移民という選択をしたのに、その後、奴隷制の上に栄華を誇ったアメリカ南部白人たちの貴族的社会が南北戦争という「風」と共に、はかなく消え「去ってしまった」ことを意味しているのである。

 

 

 

杉本の作品群は、人類への警告と問題提議だ。はかなく消え去ることのないようにするためにどうするか。重く受け留めて行動に移したい。

 

見なければわからない、心にしみ入る意義深い展覧会だ。

 

 

 

• 開催期間:201693日(土)~1113日(日)

 

•休館日:毎週月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館) ※919日開館、翌20日休館/1010日開館、翌11日休館

 

• 料金:一般1000(800)円、学生800(640)円、中高生・65歳以上700(560)円 

 

( )20名以上の団体料金、当館の映画鑑賞券ご提示者、各種カード会員割引

 

(サイト内のご利用案内をご参照のこと)

 

小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料

 

3水曜日は65歳以上無料。

 

※本展覧会は混雑状況によって、入場制限をする場合あり。

 

 

 

☆展覧会担当学芸員によるギャラリートーク

 

 20161111() 14:00

 

担当学芸員による展示解説。 展覧会チケット(当日消印)をご持参のうえ、3階展示室入口に集合のこと。

 

☆東京都写真美術館

 

     https://topmuseum.jp

 

☆展覧会図録

 

杉本博司 ロスト・ヒューマン    全出展シリーズ、作家略歴、出品リスト等を掲載。

 

執筆  杉本博司、三木あき子、丹羽晴美(東京都写真美術館 学芸員)

 

A4変形、248頁、東京都写真美術館発行、2,500(税込)

 

 取材の苦労話など、中身の濃い内容。

 

 

 

☆読者プレゼント 

 

 

 

   1020名様にご招待券 プレゼント

 

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

   件名:展覧会名と会場名

 

   本文:ご住所、お名前

 

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

 

       締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時 

 

   会期終了まで時間がないため、速達でお送りするなどお届けするのに最善を尽くします。ご当選のお知らせメイルをお待ち下さいませ。

 

      

☆ご意見・ご要望・ご感想のお願い

 

 よりよいサイトづくりのため、読者の皆さまからのご意見を常時受け付けております。

 

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※画像および記事の無断転載禁止

 

 

 

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