第144回 都をどり   京都、春の風物詩、開幕。

 

 

144回 

 

都をどり

 

 

 京都、春の風物詩、開幕。

 

                                      

撮影 すべて 浦 典子

 

 

毎年41日 ~ 30日にかけて、京都の祇園甲部歌舞練場で開催される舞踊公演、「都をどり」。

 

明治2年に東京遷都により衰退した京都の繁栄策として、 明治5年開催の京都博覧会の余興として万亭の杉浦治郎右衛門と井上流家元の三世井上八千代(片山春子)が企画したのが始まりで、今年で144回を数える。

 

当時、花道からおそろいの衣装を着けた芸舞妓たちが登場するなどの新趣向が好評を博し、今や京都の年中行事になっている。

 

以来、歌舞伎や古典の物語などを題材とし、明治以来のスタイルを踏襲しながらもその年その年の話題にちなんだ演目を、新たなる志向で上演し続けているのだ。

 

数ある京都の「をどり」の中でも開催期間が一番長く、芸舞妓の数も90人(祇園甲部の芸舞妓)と多く、また、桜の開花という素晴らしい季節に開催される「都をどり」は京の代表的な催しといえよう。

 

この「都をどり」の総出演人数は94名、1回の公演では60名が出演する。

 

以下で、日本舞踊についての記事を以下のとおり、筆者は記しているので参照されたし。

 

☆五花街の芸舞妓 約80名が集う!第22回 京都五花街合同公演「都の賑い」

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-06-27

 

☆祇園をどり  

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-11-04

 

☆日本舞踊特別公演 〜輝く日本の舞と踊〜

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12

 

筆者は、いろいろなかたがたのご協力を得ながら、少しずつ歌舞伎などを日本文化や芸術を勉強し始めたところなので、それを年齢の若いかたや初心者にもわかりやすく説明してゆきたいと考え、記事にしている。

 

伝統文化を初心者の目線から噛み砕いた筆者の解説はわかりやすいと読者のかたがたから多くのe-mailをいただいているので大変励みになる。

 

2016331日、翌日に初演の前に稽古の総仕上げする「大ざらえ」があり、舞妓や芸妓が招待客や報道陣らに あでやかな舞を披露した。

 

「都をどりはー、ヨーイヤサー」の掛け声と共に春の到来を華やかに告げた。

 

今年の演題は「名所巡四季寿(めいしょめぐりしきのことぶき)」(全8景)。

 

梅香る早春の城南宮

 

藤の花が映える初夏の毘沙門堂

 

20年に1度の春日大社(奈良市)の大改修・式年造替

 

紅葉が色めく金福寺

 

雪が降り積む三千院 

 

などを舞台とし、本番と同じ振り付けを披露した。

 

「落窪姫末繁昌(おちくぼひめすえのはんじょう)」は、日本版シンデレラのような物語で、

 

フィナーレは姫路城を背景に満開の桜の下の総踊り。

 

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その一部の隙もないほど完成度の高い公演には、144回という長い歴史の重みをまざまざと感じさせられた。

 

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別館の1階にはお茶席が設けられ、茶券付特等観覧券の場合、点茶をする芸妓は京風の島田髷を結い、衿を裏返す黒紋付の正装姿だ。外国人にも容易に体験してもらいやすくと裏千家により考案された「立礼式」。

 

この「都をどり」をより一層深く鑑賞できるアイテムが、パンフレットとイヤホンガイドだ。

 

パンフレットには、出演する芸舞妓や地方の名前やカラー写真が載っており、また、演目が詳しく解説されているので、初心者にも理解しやすい。この「都をどり」魅力や裏話をビギナーにもわかりやすく解説しているからだ。

 

イヤホンガイドは、南座『あらしのよるに』の際に以下で記したが、その会社と同じという。

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04

 

安川きみえ主任は、筆者のインタビューに対し、以下のように解説をしてくれた。

 

「昨年、2015年平成27年の第143回公演より日本語を初めてスタートしました。

 

大変ご好評で、期間中にアンケートをとったところ、利用者の96%がまた利用したいと回答して下さいました。都をどりは1時間弱の舞踊ですが、今年144回を迎えるということは144年間続いてきたということで、さらに毎年同じ内容や衣裳ではなく、テーマを決めて作詞、作曲、振付がされています。

 

場面構成は8展開で、都をどりの歴史に因んで銀襖の舞台から始まり、梅の初春から春、夏、秋、冬から桜の春に戻る展開になっていて、今年は全国の名所を季節に絡ませています。

 

お客様ははじめてご覧になる方が多く、舞妓さん、芸妓さんを綺麗だと思っているうちに時間は過ぎてしまいますが、150年もの長い間毎年作成して、連綿と続けて来られたこの伝統芸能を

 

さらに深く楽しめるお手伝いが出来るのが同時解説のイヤホンガイドです。舞踊にも、他の芸能のお話しなどを元に作成されていることも多く、背景にはストーリーがあり、人物設定もあります。目から舞台美術、道具、衣裳、耳からは歌詞、鳴り物の太鼓や笛が表している音、下座音楽、都をどりの歴史などはもちろん、身振り手振りで手紙を書いていたり、お酒を飲んでいたりする場面をあらわしています。

 

バックミュージックとして捉えていた音楽も、ストーリーを歌っていることをお伝えします。

 

舞踊こそ、イヤホンガイドの真骨頂を発揮できるものであり、都をどりをより立体的に楽しめる、また来年も来たくなるツールになると思います。

 

京都という土地柄から外国からのお客様が非常に多く、英語のイヤホンガイドの問い合わせやご要望を受け、祇園甲部歌舞会さまのご協力のもと、本年より英語版を始めることができました。

 

百聞は一見に如かず、一度、ぜひ京都にお越しいただき、歴史ある祇園甲部歌舞練場で

 

イヤホンガイドを聞いてみていただきたいです。」

 

☆株式会社イヤホンガイド

 

http://www.eg-gm.jp/e_guide/

 

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「都をどり」では、芸舞妓に注目がいきがちである。しかしながら、この公演を開催するにあたり、広報、宣伝、事務作業など多くの人々の陰の力の賜物であるということが取材に上がって感じられた。

 

忙しい中、気配りをしながらテキパキと仕事をする祇園甲部歌舞会 小村浩久 広報宣伝担当からは、伝統を守って行く気概を感じた。

 

こんな京都の奥深さを感じ取ることができる「都をどり」を鑑賞して一人でも多くの方に京都に足を運ぶきっかけになれば幸いだ。

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ぜひ、一度、体験していただきたい。

 

毎年、新たな演目の「都をどり」が楽しみになるであろう。

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☆観覧券

 

席種:(大人・こども同額)

 

   茶券付特等観覧券(指定席)4,800

 

   壱等観覧券(指定席)4,200

 

   弐等観覧券(自由席)2,500

 

   ※特等-1階椅子席・2階椅子席・2階左右桟敷席(タタミ席)

 

  ※壱等-2階椅子席・2階左右桟敷席(タタミ席)

 

   ※弐等-3階正面桟敷席(タタミ席)

 

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☆会期

 

2016年(平成28年)41日 ~ 30

 

☆開演時間:

 

(公演時間は約60分)

 

1回:12:30

 

2回:14:00

 

3回:15:30

 

4回:16:50

 

【主催】

 

京都市観光協会、祇園甲部歌舞会

 

【会場】

 

祇園甲部歌舞練場

 

 京都府京都市東山区花見小路通四条下ル

 

京阪祇園四条駅・阪急河原町駅下車徒歩10

 

TEL075(541)3391

 

☆公式サイト 都をどり 祇園甲部歌舞会

 

http://www.miyako-odori.jp/miyako/index.html

 

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